知財の転職

特許事務の将来性は暗い?年収は稼げないのか?仕事はきつい?徹底解説!

「特許事務の将来性が気になる。AIで置き換わって仕事がなくなると言われるけど本当なの?」

「特許事務の仕事って稼げるの?仕事はきついと聞くけどどうなんだろう?」

こうした疑問に答えます。

筆者は弁理士ですが、特許事務所に勤めており、また同業に情報共有できる友人・知人が多くいますので、筆者の見解から特許事務員の将来性・仕事のきつさ・稼ぎ方を話したいと思います。

結論から言うと以下のとおり。

  • 特許事務の将来性は暗くない
  • ただし仕事はきつい
  • 特許事務は一般事務と比べると稼ぎやすい

理由については本記事を読めばわかるでしょう。

本記事はこれから特許事務を目指している方や興味がある方に参考になります。

 

本内容の構成

1.特許事務の将来性は暗くない理由

2.特許事務の仕事はきつい理由

3.特許事務の年収の稼ぎ方

4.特許事務の将来性と仕事と年収の稼ぎ方のまとめ

1.特許事務の将来性は暗くない理由

まず、特許事務の仕事はAIに置き換わりやすいです。これはほぼ事実といえます。

そうすると、特許事務の将来性ってないんじゃないの?と思われるかもしれません。

しかしながら、特許事務の仕事はなくなることはないですし、将来性について少なくとも今後10年は心配しなくてOKです。

理由は以下のとおりです。

  • ⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから
  • ②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから
  • ③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから➤むしろこちらの方が事務員にはありがたいかも。

⓵と②についてこの傾向は今後10年も変わらないと思います。

以下それぞれの理由をくわしく解説していきます。

⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから

すみません。別にバカにしているわけではないです。

しかし、弁理士そのものがご高齢の方が多く、特に所長にいたってはご高齢でして、なかなか新しい技術を導入することは難しいです。

また、小中規模の特許事務所は中小企業と同じく、所長(社長)が全ての権限をにぎっています。所長がNOと言うとNOであり、YESと言うとYESです。

どれだけ勤務弁理士がAIを導入した方が効率的だからといっても所長がNOと言えばNOなのです。

実際に、AIを導入した方が人件費が明らかにコストカットするのに導入していない特許事務所がほとんどです。(聞いたはなしではとある特許事務所がAIを導入したところ、人件費を8割まで抑えられたそうです。)

中小規模の特許事務所に限定されず、大手もその傾向が強いです。大手の場合、パートナーが権限を握ると思いますが、やはり新しい技術を導入することに否定的な方が多い印象です(聞いた話。)

これは言い換えれば大手の場合、別に新しい技術を導入しなくてもやっていけるということを意味しています。つまり、人件費をカットしないといけないほど儲かっていないということではないと思います。

このため、AIを導入することはなかなかないので特許事務の求人は増え続けます。心配無用と思います。

②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから

さらにつけたすと、大手企業には特許事務の数で特許事務所を選ぶ傾向にあります。

理由は安全・リスク回避です。大手企業にとって一番重要なことは自社の知財を安心して特許事務所に任せてもらうことというのが多いです。

(だから、個人事務所には頼みません。)

つまり大手企業にとっては、全てとは言いませんが、一番重要視しているのは弁理士の質ではなく、特許事務の数であることが多いです。(弁理士の質はよほど悪い者でない限り差がつかない。大手企業では、極端な話平均点をとればよい。)

このため、大手特許事務所は特に特許事務の数を多く確保する傾向にあります。

この傾向はまだまだ続くでしょうしやはり心配ご無用です。

③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから

また、仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるので特許事務の仕事がなくなるというわけではありません。(ただ高齢の特許事務の方は新しい仕事をおぼえないといけずきついかもしれませんが…)

むしろAIに置き換わった方が特許事務のきつい負担部分が軽減されて楽かもしれません。

とにかく、いずれにせよ特許事務の仕事がなくなることはありえませんし、将来性について心配しなくてOKです。

ただし、仕事はきついため注意が必要です。

2.特許事務の仕事はきつい理由

特許事務の仕事のタイプは3つあります。

  • ⓵「内内事務」国内のクライアントが日本特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「B」)
  • ②「内外事務」国内のクライアントが外国特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「A」)
  • ③「外内事務」外国のクライアントが日本特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「A])

いずれもきついですが、内外・外内事務は特にきついです。

理由は以下のとおりです。

  • ⓵ミスが許されない(期限徒過はNG)仕事である。
  • ②弁理士のチェックが終わるまで帰れないことも。
  • ③内外・外内は現地との時差があり、現地のリスポンスによっては夜遅くまで仕事をすることもある。
  • ※内外・外内はより専門性が高く稼げるが残業が多い傾向。

まず特許事務はミスをすると大きな事故につながることが多いです。

例えば、特許事務の仕事に期限管理があるのですが、特許庁への期限についてクライアントへの期限報告を間違えたり、忘れたりするとそれだけで特許権が消滅するとかそういう事故につながることもあります。

このため、期限管理能力やヒューマンエラー・ミスを防ぐ能力が求められ、精神的にきつくなることもあります。

また、これは特許事務所によってケースバイケースかもですが、弁理士のチェックが終わるまで帰れないこともあります。

例えば、特許出願を本日中までに提出するとき、特許庁提出の出願書類を担当弁理士にもっていって、担当弁理士がチェックを行い、その後に事務員が庁手続きを行います。

しかし、場合によっては弁理士のチェックが遅すぎる場合がありますし、チェックすら忘れている場合があります。

この場合、事務員はなかなか動きづらくイライラしますし、帰ることもできない場合もあります。(これは根本的に弁理士が自分で特許庁提出の出願書類を作り、自分でチェックして出せばいいだけの話なのですが…)

また、内外・外内の事務の場合、時差がありますので現地のリスポンスが遅くなる時があります。

その結果、残業が多くなりますし、心理的なストレスもあると思います。

以上のように、仕事がきつかったりイライラすることが多いと思います。

とはいうものの、特許事務は専門性の高い仕事であり、キャリアアップが見込みやすく、しかも一般事務と比べると給料・年収は高めです。

特許事務の年収の稼ぎ方は?

特許事務員の平均年収は549万円といわれており、日本の平均年収(436万円)より100万円も高めです。(参考:求人ボックスの特許事務所の仕事の年収・時給・給料)

ただし、特許事務になると必ずしもこれくらい稼げるというわけではありません。

スキル・特許事務所の評価システムなどにより稼げない所もありますし、若手弁理士よりも多く稼げるところもあります。

年収の稼ぎ方において重要なのは特許事務スキルと特許事務所の選び方にあります。

スキルについていえば、さきほどの内外事務と外内事務もこなせるようになれば年収もアップしていきます。

またこれらの事務スキルをこなしえていけば事務リーダーの役職にもつきやすく年収もアップしやすいです。

内外事務と外内事務は英語の能力が不可欠です。ただし、高校で習う英文法がしっかりできれば対応できるでしょう。

 

さらに、重要なのは事務所の選び方です。特許事務所は、特許事務の待遇がよいところと悪い所は千差万別です。

大手特許事務所では、待遇がよさそうに思えたりもしますが、ハードワークが要求される(残業が多い)ところもありますし、またパートスタートのところもあります。

一方で中小の規模だからと言って必ずしも待遇がよくないところばかりではありません。特許事務所によってまちまちです。

そこでもし特許事務に転職するのであれば、同業に詳しい知人に相談したり、転職会議などの口コミ情報、転職エージェントを活用することをおすすめします。

ここで、転職エージェントについていうと、特許事務所に内情に詳しいエージェントを利用すべきであり、大手のエージェントなどは求人情報は手に入りやすいかもですが、失敗のない転職を避けられるかどうか怪しいです。

そこで、転職エージェントを活用するのであればリーガルジョブボードにご相談することをおすすめします。

本ブログからは弁理士・特許技術者ですがリーガルジョブボードに登録して転職に満足された方もいらっしゃいます。

  • ①45歳女性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
  • ②28歳男性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
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4.特許事務の将来性と仕事と年収のまとめ

将来性は気にしなくてOKの理由

  • ⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから
  • ②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから
  • ③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから➤むしろこちらの方が事務員にはありがたいかも。

 

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