英語が苦手なんだけど弁理士としてやっていけそうかなあ・・・ あと英語ができたほうが稼げるのかなあ・・・
弁理士で英語が苦手な方は意外と多いです。特許事務所の仕事では英語が必要ではないかと不安になる方も多いと思います。
しかし、ご安心ください。弁理士に英語はなくてもOKです。
ただし、英語ができれば、圧倒的に有利ですし、稼げます。
そこで今回は、弁理士に英語はほとんど必要がない理由と、英語ができたら圧倒的有利である理由の2本立てでお送りします。
この記事を書いている人
- 特許事務所・法律事務所を経験。
- 特許事務所を開業
- 特許出願300件以上+商標出願100件以上
- 経験に基づいた試験勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
目次
弁理士に英語はほとんど必要がない理由
弁理士に英語がほとんど必要がない理由は以下の2つ。
①英語を必要としない業務だけでもやっていけるから
②英語が必要な業務でも高校レベルの文法を知っていればやっていけるから
以下くわしく解説します。
①英語を必要としない業務だけでもやっていけるから
弁理士は英語を必要としない業務だけでもやっていけます。
弁理士の主な仕事は「特許」と「商標」の出願業務です。
このうち、「特許」について解説しますと3つのタイプがあります。
- 日本のクライアントが、日本の特許庁へ特許出願をする(「内内」と呼ばれます。)
- 日本のクライアントが、海外の特許庁へ特許出願をする(「内外」と呼ばれます。)
- 海外のクライアントが、日本の特許庁へ特許出願をする(「外内」と呼ばれます。)
ちなみに、弁理士の独占業務は「内内」と「外内」です。
この中で、内々業務は、英語を必要としませんし、特許事務所で働く場合、内々が多いからです。
>>参考「弁理士の仕事内容を分かり易く解説【1日のスケジュールも公開】」
ただし、やっていけることと、「稼ぎやすさ」「仕事の楽さ」は別物であることに注意してください。
稼ぎやすさ「内外」>「外内」>「内内」
楽さ「外内」>「内外」≧「内内」
一般にこんな感じです。
では、「内外」と「外内」をやるのに英語力がめちゃくちゃ必要かと言われるとそうでもないです。
高校の英語文法ができればやっていけます。これは断言します。
では②へすすみます。
英語が必要な業務でも高校レベルの文法を知っていればやっていけるから
英語が必要な業務は「内外」「外内」です。
ここでは「内外」についてお話しします。
・内外については、主な業務は以下のとおり。
- ①英語の特許明細書の誤記チェック(弁理士が自ら翻訳をする場合がある)
- ②海外の代理人からのレターや海外の拒絶理由を英語で読んで理解する
- ③海外の代理人へ指示書を英語で作成
①についてたいていの場合、特許翻訳が担当します。
特許翻訳は文系の方が多いので、技術的に誤りがないかなど弁理士が最終チェックします。
チェックだけの仕事のため、英文法さえきちんと理解していればそれほど難しいものではありません。
翻訳チェックの仕事はたいてい未経験で入った場合の最初の仕事としてふりわけられます。
②海外の代理人からのレターや海外の拒絶理由を英語で読んで理解する
日本の特許庁と同様、海外の特許庁でも出願の審査がおこなわれ、拒絶理由が通知される場合があります。
拒絶理由が通知された場合、海外の代理人から拒絶理由とともに、コメントが送られてきます(クライアントによってはコメントが送られない場合もある。)
あなたは拒絶理由とコメントを英語で読んで理解しないといけません。
これも最初は苦労するかもしれませんが、特許業界で使われる英語はパターンが決まっていて、どんなに英語が苦手な方でも、1年もやればなれます。
そして内容を理解した上で、日本のクライアントとやり取りして海外の代理人へ指示書を送ります。
指示書は弁理士が英語で書くケースがほとんどです。ただし、特許事務所によっては、特許翻訳者が代行してもらえる場合もあります。
指示書についても特許で使われる英語はパターンが決まってまして、テンプレートを自分で作っていけばどんなに英語が苦手な方でもなれると思います。
以上が「内外」の話です。
弁理士は英語ができたら圧倒的有利である理由
以上のとおり、実はそれほど難しいものではなく(特許明細書の和訳・英訳も担当すると大変ですが・・・)、英語が苦手な弁理士でもやっていけるでしょう。
そして、英語ができれば圧倒的に有利です。
中国語もできれば最強です。無敵です。ただし、これはできなくても稼げると思います。
英語ができれば圧倒的有利である理由は以下の通り。
- ①内外と外内の単価の方が大きいから
- ②英語で営業ができる(これは独立開業の時に超役に立つ)
まず、勤務弁理士で稼いでいる人のほとんどは、内外と外内の案件を多く担当していると思って差支えないです。
(年収例)900万円 中小規模の特許事務所(外内だけ。拒絶理由の翻訳(英訳)も担当)。40代弁理士の方(数年前に聞いた話)
理由は単価が大きいことと、仕事に慣れたら短時間で処理しやすい、この2つにつきます(内内の場合、特許明細書を書くのが大変です。)
弁理士で稼ぐ場合、いかに単価の大きい案件を担当し、かつ短時間で処理するかが重要です。
内内も弁理士の仕事の基本を学ぶ上で重要ですが、これだけやっていては稼ぐことは難しいと思います。
たいていのクライアントの場合、日本と海外の外国出願を同時にやるので、「内内」だけということはあまりないと思いますが、まれに単価が安く、外国出願しないクライアントもありますので注意してください。
英語については4技能のうち、リーディング・ライティングができれば十分に稼げると思いますが、英会話もできれば最強です。
英語で海外営業ができれば、独立開業したときに「圧倒的に有利」です。
というのも、特にアジア圏内(台湾など)で営業をすれば仕事をとりやすいからです。(そもそも外国に行ってまで営業をしようとする独立弁理士はほとんどいません。)
英語ができれば、アジア圏内でも通じます。中国語など話せなくてもOKです。
弁理士と英語のまとめ
- 弁理士に英語はなくてもやっていける
- ①英語を必要としない業務だけでもやっていけるから②英語が必要な業務でも高校レベルの文法を知っていればやっていけるから
- ただし英語ができれば圧倒的有利
- ①内外と外内の単価の方が大きいから
- ②英語で営業ができる(これは独立開業の時に超役に立つ)
体感的に、TOEIC700以上あったら、英語ができる弁理士といってよいと思います。
また、TOEIC・英検は「内外」「外内」を扱う特許事務所の転職にも有利ですので700以上とっておくとよいでしょう。
>>「2020年版|知財・特許に強い転職エージェントを弁理士が紹介」