弁理士の年収の現実が知りたい。弁理士に興味あって資格をとろうか迷っているんだが、儲かるのか!? あとは稼ぎ方も知りたい。
こうした疑問に答えます。
弁理士は知的財産権の専門家として、特許や商標などの登録や権利の保護など、法律上のアドバイスや手続きを行う仕事をしています。
弁理士になるためには、国家試験に合格する必要がありますが、合格すると年収が高いとされています。
そこで今回は、弁理士の年収について詳しく解説し、収入アップのための方法についてもご紹介します。
・本記事の信頼性
本記事の信頼性(この記事を書いている人)
・通信講座を利用して1年弱の勉強量で難関資格(弁理士)を突破。
・資格勉強の勉強法を公開してバズり1日に3万PV達成。
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・本記事の構成
1.弁理士の平均年収はどれくらい?
2.弁理士の年収アップのためにはどうすれば良いのか?
3.弁理士に向いている人の特徴とは?
4.弁理士の仕事内容とは?
5.弁理士の年収のまとめ
弁理士の平均年収はどれくらい?
弁理士の年収は、700~750万円と言われています。(参考:https://media.legal-job-board.com/patent-average-annual-income)
弁理士なら経験年数にもよりますが5年くらいやっていれば独立・勤務いずれにせよ普通に年収800万円は行くと思うので「妥当の平均年収」と思います。
この平均年収を多いと見るか。いや低いと見るか。
人それぞれですが、30代後半の平均年収が448万円(男性528万円、女性314万円)であり、そう考えると30代でその2倍近くの年収を得ることができるので資格を取る意味は十分にあると思います。
なお、弁理士の場合、男女の性別で優位はつかないと思うので平均年収の上記の低さから男性よりもむしろ女性の方が有利と思えます。
ちなみに余談ですが弁理士のおいしいところは勤務形態(特許事務所勤務)でも高収入が得られやすいことです。
これは他の士業(行政書士・司法書士・税理士)では考えられません。これらの士業は雇われの場合は安いと聞きます。
つまり、弁理士になれば独立というリスクを冒さなくても特許事務所勤務の形態でも十分に高収入は得られます。
ちなみに弁理士経験の年数が5年以上であっても年収が800万円に届かない場合は以下の3つのケースが考えられます。
- 実力不足のケース。ここでいう実力不足とは特許明細書が自分で書けないこと。大手特許事務所で上司から何度も特許明細書のチェックを受けている間は厳しいです。今の職場で実力がつかないなら転職しましょう。
- 実力はあるが事務所に搾取されすぎのケース。特許明細書ノーチェックで月4件以上の明細書を書ける力があるなら年収1,000万円を稼ぐ素質があります。すぐに転職しましょう。
- 商標弁理士。独立開業するか勤務弁理士なら特許明細書を書けるようにしましょう。
つづいて年代別の弁理士の年収を比較します。
弁理士の年収の年代別の比較
次に弁理士の年代別の平均年収を見ていきます。
20代後半の弁理士の平均年収は500万円
20代で弁理士に登録している数の割合はとても少なく、希少価値があります。
年収は500万円であり、一般的なサラリーマンよりも高いといえます。
20代の場合はまだまだ経験年数が少ない人が多いと思うので妥当ではないでしょうか。
ただし学生のころに弁理士を取得してそのあとストレートに特許事務所へ転職して5年以上たっていれば年収は800~1000万円近くには到達できるでしょう。
一般企業勤務で20代で1000万円はありえないですが、特許事務所の場合は実力主義が強い傾向にありますから。
30代の弁理士の平均年収は615万円
20代後半と比べると、変動の幅が小さいように思えます。
これは30代から弁理士を始めた人が多くいるからと考えられます。
まだまだ経験年数5年をたっていない人が大半です。
35歳未満の割合は全体の4.1%しかありません。
引用:https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/08/dstribution-202006.pdf(赤字は筆者が追記。)
このデータから、30代で未経験者は多くいることがわかります(20代がほぼいないため)。
その中で平均年収が615万円なら高いといえます。
ただし先ほどのとおり経験年数5年以上であれば800万円はいくでしょう。
おまけに、経験者で1,000万円以上を稼いでいる人もこのあたりから結構出てきます。
40代以降の弁理士の平均年収は955万円
40代以降になるとほぼ経験者です。経験年数5年以上たっている人が大半です。
経験を積んでいくと年収は一気に上がることがわかると思います。
一流企業の課長クラスの年収はもらえるでしょう。
弁理士の年収データで注意すべきこと
以上を見ると、サラリーマンと比べても弁理士の年収は高いといえるでしょう。
弁理士の年収アップのためにはどうすれば良いのか?
弁理士の年収アップのためには以下のポイントが必要です。
- 必要なスキルを身につける
- 年収アップにつながる転職をする
- 独立開業で年収アップをする
- 副業などにより年収アップをはかる
必要なスキル
弁理士の年収アップのために必要なスキルとしては、以下のものがあげられます。
- 特許明細書が書けるスキル
- 英語のコミュニケーション能力
- 英語で特許明細書を翻訳できる能力
特に重要なのが特許明細書が書けるスキルです。
特許明細書が書けるようになるには、通常3年ほどの期間が必要となります。
特許明細書を書くには独学は難しく、指導がしっかりとしている特許事務所で上司の書き方をまねて経験を積んでいくことがコツです。
特許明細書が書けるようになれば年収もおのずとアップするでしょう。
また、英語のコミュニケーション能力や英語で特許明細書を翻訳できるようになることも年収アップにつながります。
ただし、特許事務所の中ではどれだけ売り上げに貢献しても年収アップにつながらない場合があります。
転職
そういう場合には、転職して年収アップが見込める特許事務所に入るのも十分にありです。
サラリーマンと違って特許事務所への転職はそれほど難しくはありません。
特許事務所への転職はパテントサロンと呼ばれるサイトを利用したり、転職エージェントを利用したりすることがおすすめです。
転職エージェントでは特許事務所の内情に詳しいところもあり、「リーガルジョブボード」があげられます。
実際にこのブログ(旧ブログ「弁理士やまの知的な日常」)からも「リーガルジョブボード」に登録して転職に成功した人もいます。
①45歳女性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
②28歳男性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
③49歳男性。実務経験者の方が大手特許事務所へ転職。
無料ですので活用してみましょう。
独立
また、特許明細書が書けなくても集客スキルがあれば独立開業で年収アップが見込めますし、企業弁理士の場合は例えば知財のコンサルタントで副業で稼ぐことで年収アップもできるでしょう。
弁理士に向いている人の特徴とは?
- ①大企業に入れなかったけど勉強ができる人
- ②大企業に入ったけどサラリーマンに向いていないと思った人
弁理士の仕事は、発明の特許申請の代行などです。このため、新しい技術に興味がある人は弁理士に向いているとか言われますが、正直そういう新しいことに興味があるかどうかはそこまで重要でないかと思います。
ちなみに、筆者は別に新しい技術とかあまり興味はないです。
また、弁理士は、医者や弁護士などと違って、子供の頃からなりたかった憧れの職業とかそういうものではないので、〇〇に貢献したいとかそういう使命感?のようなものをもった人が向いているとかそういうものでもないと思います。
では、以下では向いている2つのタイプ①と②についてさらに深堀していきます。
①大企業に入れなかったけど勉強ができる人
まず新卒で大企業に入れなかったが、勉強はできた人は弁理士に向いていると思います。
理由は以下のとおり。
- 資格試験に合格しやすい
- 弁理士は毎日が勉強。(「技術」「法律」「英語」)適合しやすい。
- 1発逆転できる。
要は勉強の素質のようなものがあり、毎日勉強をすることに抵抗がない方は弁理士に向いています。
筆者も①に当てはまります。
筆者の場合、勉強はできたのですが、新卒で内定がどこももらえず中小企業に就職。安月給とパワハラ体質の環境に絶望を感じ、弁理士を目指しました。弁理士試験はすぐに合格し、勉強が得意だったので、「新しい技術」「特許に関する法律(外国も含む)」「特許英語」の勉強にも抵抗なく継続し実務を身につけていき、3か所めの法律事務所に勤務した時には一部上場企業のサラリーマンの年収は越えました。
弁理士で1発逆転したといってもいいでしょう。(最初が悲惨すぎたといえばそうですが笑…)
①のタイプとしては具体的に以下のような方はおすすめと思います。
- 中小企業で苦労されている理系出身の方(勉強はできる)
- ポスドクの方(勉強はできるが出世できない)
- 高学歴のフリーターの方(やりたいことが見つからない。けど勉強はできる)
大学受験をめちゃくちゃがんばって難関大学に合格された方や、大学時代に資格勉強をされ、難関資格をとられた方は弁理士試験に合格しやすいと思います。
というのも、これまでの勉強のノウハウは必ず弁理士試験に活かされるからです(ただし実績(志望校に合格した、資格をとった。試験のうち1次試験でも通った。)がある方のみ)。
参考:「弁理士試験の勉強時間を1500時間で合格する勉強法を合格者が解説する」
②大企業に入ったけどサラリーマンに向いていないと思った人
ネットでは今は大企業に入っても厳しいとか大企業では成長しないとか言われますが、なんだかんだで今でも大企業に入るのが1番です。
しかし大企業に入ったけど、以下の理由でサラリーマンの生活に慣れない方も多いと思います。
- 出張・転勤が苦痛
- 満員電車が苦痛
- チームワークが苦痛。同僚の上下関係が苦痛。個人プレーで仕事がしたい。
- 会議が苦痛。長すぎる。
- 年功序列制がいや。若い時から稼ぎたい。
弁理士の場合、特許事務所で働くと上のような生活を避けやすいです。
- 出張・転勤が苦痛➤ほとんどない。1日中事務所で明細書を書くことが多い。今は在宅も認めているところも多い。
- 満員電車が苦痛 ➤フレックス制を採用しているところが多く、時間をずらして回避できる。また在宅も認めているところもある。
- チームワークが苦痛。同僚の上下関係が苦痛。個人プレーで仕事がしたい。➤個人プレー。1日誰とも会話せず終わることもしばしば。
- 会議が苦痛。長すぎる。➤ほぼない。仕事の進捗を報告する会議はあるところはある。
- 年功序列制がいや。若い時から稼ぎたい。➤成果主義。ただし一部年功序列制の特許事務所があるので注意。
筆者はサラリーマン生活をどうこういうつもりはないですが、これは合わない人はとことん合わず、どれだけホワイトな企業でも苦痛を感じると思います。
その逃げ道として弁理士はおすすめと思います。
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弁理士はやめとけと思う特許事務所ランキング
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逆に大企業に勤めていてサラリーマン生活が楽しければ、わざわざ弁理士をとって特許事務所へは足らなくてもいいと思います。
知財に興味があれば、知財部で経験を積み、知財コンサルタントを目指すのもいいと思います。
知財部への異動が難しければ、企業の知財部へ転職すればOKです(大企業出身であれば転職できる確率も高いと思います。)
それでも無理そうなら特許事務所へ転職するのもありと思います。
弁理士の仕事内容とは?
上図に弁理士の仕事内容をまとめました。(一部)
弁理士の主な仕事内容は、知的財産(特許・意匠・商標)の権利化業務です。
- 特許➤アイデア。出願件数が最も多い。実用新案はほぼない。
- 意匠➤デザイン。出願件数は少な目。
- 商標➤ロゴ・マーク。出願件数は多め。
- 出願件数は特許>商標>>意匠の順。
各知的財産の権利化までの流れは上図のとおりです。
- 権利化できるかどうか。まずは相談・打合せ。
- 先願調査(特許の場合、先行技術調査。商標の場合、商標の同一・類似調査など)。
- 出願(特許の場合、特許明細書を作成。)
- 中間処理(特許庁審査官による審査の結果、拒絶をされた場合に補正書・意見書を提出して拒絶理由を解消する)
- 登録➤登録納付手続きを行ったあと、権利化(特許権・商標権など)できる。
- その他➤第3者が登録に不満があるときは登録を取り消す異議申し立てを請求できる。
弁理士の仕事のほぼ大半はこの知的財産の権利化までの仕事です。
弁理士の仕事の範囲は他の士業の資格と比べてもあまり大きくないですが、それだけ密に仕事をするので専門性は高まります。
専門性を深めた仕事を行いたいという方にとってはおすすめの仕事といえるでしょう。
さらに詳しい内容はこちらの記事でも紹介しています。
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弁理士の仕事内容の現実は?【1日の仕事スケジュールもここだけ公開】
続きを見る
弁理士の年収のまとめ
以上、弁理士の年収についてまとめました。
もし本記事を読んで弁理士に向いていると思ったらまず動いてみましょう。
一人だと不安であれば、特許事務所に詳しい転職エージェントに相談するのもありです。
実際にこのブログ(旧ブログ「弁理士やまの知的な日常」)からも「リーガルジョブボード」に登録して転職に成功した人もいます。
①45歳女性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
②28歳男性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
③49歳男性。実務経験者の方が大手特許事務所へ転職。
無料ですので活用してみましょう。